フラット35にも何やら『保証型』っていうのと、『買取型』っていうのがあるらしい…
でも、いまいち話が難しくてよく分からん!
というお声に応えるべく、このページでは、なるべく簡単な言葉でフラット35の『保証型』について説明しています。
通常の『買取型』との違いから、メリット、デメリット、取扱金融機関までしっかりお伝えしていきますので、是非最後までお付き合いください。
携帯電話でいうところの、格安SIMみたいなものですね!
このページの目次
フラット35『保証型』は、通常の『買取型』と違って“民間の金融機関”が貸出人となる!
「保証」とか「買取」とか、文字を見るだけでなんだか訳が分からなくなってしまいそうな気がしますよね・・・。
なので、簡単に結論だけ言います。
- 『買取型』(通常のフラット35)・・・住宅金融支援機構が貸出人
- 『保証型』(特殊なフラット35)・・・民間の金融機関が貸出人
この違いだけ押さえておけば、以降の説明も全て納得がいくはずです。
フラット35は通常、金融機関が貸し出しした住宅ローンを住宅金融支援機構が“買い取る”!
フラット35に住宅金融支援機構という国の機関が関わっていることはご存知かと思いますが、通常のフラット35(買取型)は、
- 民間の金融機関が、借入人に住宅ローンを貸し出す
- 住宅金融支援機構が、その住宅ローンを買い取る
という仕組みで運営されています。
・・・融資当日、
でも、この後もお客さんの管理お願いしますね!
(ふー。回収に35年かかる融資を、すぐに資金化できて良かった)
すごく簡単にいうと、こんな仕組みになっています。笑
金融機関は、住宅ローンの申込受付および実行後の事務手続きは行いますが、「フラット35」の金利では35年の長期貸出は割に合わないので、住宅金融支援機構に住宅ローンを買い取ってもらいます。
結果、契約上の貸出人は住宅金融支援機構に変わります。
図式化すると、こんな感じです!

こうして見ると、「フラット35」という商品においては、金融機関は“転売屋”の様な立ち位置にいます。貸出人というよりは、住宅ローンの“仲介業者“の様な存在です。
ちなみに、住宅金融支援機構も無限に長期貸出を行い続ける程のお金を持っていません。なので、購入した住宅ローンを証券化して、投資家にさらに転売しています。
『保証型』のフラット35は、民間の金融機関がそのまま“貸し続けている”住宅ローン
さて。
続きまして、本題である『保証型』のフラット35について解説します。
既に結論はお伝えしている通り、『保証型』では貸出人が住宅金融支援機構ではなく“民間の金融機関”になります。
民間の金融機関が貸し出す住宅ローンなら、通常の固定金利と変わらなくないか!?
…こう考えるのが自然ですよね。
安心してください。
住宅金融支援機構は、商品名称の通り「保証」という形で登場してきます。

こんな感じで、『保証型』では貸出人は民間の金融機関になりますが、住宅金融支援機構が保証をしてくれるので、最終的な貸し倒れのリスクはやはり住宅金融支援機構が背負う形になります。
貸し倒れリスクがなくても、35年貸しっぱなしはキツい!
貸し倒れのリスクを住宅金融支援機構が背負ってくれるので、金融機関が単独で貸すよりはかなり割の良い話に聞こえますが、先ほども説明した通り、たとえ貸し倒れのリスクがなくても、金融機関は何十年も資金を寝かせておく様なことをしたくありません。
『買取型』では、35年の住宅ローンでも、融資当日に住宅金融支援機構が買い取ってくれるのですぐに資金化できますが(…厳密には若干タイムラグありですが)、『保証型』ではその“買取の役割”を住宅金融支援機構が果たしてはくれないのです。
困ってしまいましたね。
はい。
・・・そこで頼りになるのが「機関投資家」さんです。
出所:ずっと固定金利の安心【フラット35】 住宅金融支援機構
ちょっとややこしい所なので、会話形式で説明します!
『買取型』ではこの手続きを住宅金融支援機構が行ってくれましたが、『保証型』の場合は民間の金融機関が自ら手続きします。
『買取型』では、「金融機関→住宅金融支援機構→投資家」という流れで住宅ローン債権が動いていったのが、
『保証型』では「金融機関→投資家」となった分、金融機関の負担は重くなるという理解でいいんですかね?
まぁ住宅ローンを借りる人にとっては、裏の話はあんまり関係ないんですけどね。。。
というところです。
ポイントは、「証券化」という住宅金融支援機構が担っていた役割を金融機関が担う点にあります。
『買取型』では転売屋に近かった金融機関の仕事が、一気に増えるイメージを持ってもらえれば良いかと思います。
「貸出人」の立場は“民間の金融機関”のまま!
『買取型』のスキームでは、住宅ローンを住宅金融支援機構に売却にした段階で、「貸出人」の立場は“住宅金融支援機構”に変わりました。
住宅金融支援機構はその後、証券化によりその住宅ローンを投資家に転売しますが、証券化後の売買であれば、貸し借りの契約関係に影響はありません。
なので、借り手は、契約上は“住宅金融支援機構”から住宅ローンを借りていることになります。
一方、『保証型』では、民間の金融機関が住宅ローンを貸し出し、その返済金をもらえる権利を、住宅金融支援機構を挟まずに自分で証券化し、投資家に直接販売しています。
こちらも証券化をしての売却ですから、貸し借りの契約関係はやはり変わりません。
借り手は、契約上も引き続き“民間の金融機関”から住宅ローンを借りていることになります。
契約関係は動きません。
- 『保証型』のフラット35は、住宅金融支援機構や投資家の力を借りながらも、貸出の主体者は民間の金融機関となっている。証券化を行うのも民間の金融機関。
- 一方、『買取型』では、住宅金融支援機構が貸出の主体者であり、証券化も行う。
フラット35『保証型』では、民間の金融機関に与えられる“商品設計の自由度”が大きい!
『保証型』では、民間の金融機関がわざわざ証券化の手間をかけて、契約上も「貸出人」の立場に居座ることとなると説明してきました。
『買取型』と比べると、明らかに金融機関にかかる負担は大きいですよね。
…なぜこんなことをするのでしょうか?
当然民間の金融機関にもメリットがあるからなんですが・・・
そのメリットというのは、一言でいうと商品設計の自由度が増すことです。
『買取型』では、住宅金融支援機構が「貸出人かつ投資家への証券販売者」になるので、住宅金融支援機構が融資条件をガッチリ決めて、その条件に合う案件だけを“転売屋”である民間の金融機関が提供する形になっていました。
ところが、『保証型』では、「貸出人かつ投資家への証券販売者」となるのは民間の金融機関です。
住宅金融支援機構に保証を付けてもらってこそのフラット35なので、全く自由になる訳ではありませんが、
貸出の主体となる訳ですので、民間の金融機関に商品設計を行う自由が『買取型』に比べて大きくなるという理屈です。
自由であっても、借り手にとってもメリットがある商品設計にしないと意味がない!
- 貸出金額
- 貸出金利
- 貸出期間
- 団信
- 繰り上げ返済
住宅ローンの商品設計の主なところはこんなところになりますが、借り手が通常の『買取型』よりも魅力を感じる商品にしないと、借りる人が誰もいなくなってしまいますよね。
自由になったから、通常のフラット35よりも金利を高く設定して利ザヤを増やそう!
なんてことをしても、売れない商品にしかなりません。
だから、『保証型』のフラット35は、借り手から見ると『買取型』のフラット35よりも魅力的な部分が“必ず”存在するように設計されています。
最近のフラット35『保証型』は金利にメリットがある!
借り手にとっての具体的なメリットを語弊を恐れずいうと、最近のフラット35『保証型』は、『買取型』よりも金利が低くなっています。
以前は『買取型』に融資金額上限が物件価額の90%までという条件があったので、『保証型』では融資金額上限を物件価額の100%までと金額で差別化を図っていましたが・・・
現在では、『買取型』でも融資金額上限を物件価額の100%までとなっているため、金額面で借り手にメリットがある『保証型』フラット35はありません。
むしろ、
自己資金を多く出してくれるなら、金利下げますよ?

と、
- <金額面は>『買取型』よりも条件が厳しい
ただし、
- <金利面は>『買取型』よりも低金利
こんな商品設計が、現在の『保証型』の主流です。
物件検査や技術基準は『買取型』も『保証型』も同じ!
商品設計は民間の金融機関の自由度が大きい『保証型』ですが、あくまで「フラット35」ですので、大枠のルールは『買取型』と同じです。
担保にできる物件や、「フラット35S」を適用できる物件は『買取型』と変わりません。
フラット35『保証型』は、『買取型』と“審査”に違いはあるのか?
僕も『保証型』の審査に携わった経験がないので明確なことは言えませんが、審査についてはたいした違いはないのではないかと思います(ここはあくまで憶測です)。
そう思う理由は、『買取型』も『保証型』も、貸し倒れのリスクを背負うのは住宅金融支援機構であることに変わりはないからです。

お客さまからの返済が滞った場合でも、金融機関は、住宅融資保険により住宅金融支援機構から住宅ローン残高を回収できます。
細かいことをいうと、回収手続きや投資家への配当支払いなどに違いがあるかもしれませんが、リスクの根本的なところは『買取型』と同じなんです。
であれば、審査目線が大きく変わる理由はないし、公式に審査目線が異なるという記載は見つかりません。
厳しいのは、“審査”ではなく“申込条件”!
ただし、審査目線は大きく変わらないとしても、前段階の申込条件は紛れもなく厳しく設定されています。
現在のフラット35『保証型』は金利を引き下げる代わりに、
- 自己資金の比率が物件価格の20%以上であること
- 返済比率が20%以下であること
といった申込条件が敷かれています(上記は一例です)。
条件に合致しない申込は受け付けしてくれませんので、当然審査もなされません。
そのため、貸し手から見ると“優良案件”ばかりが申し込まれる形となり、結果として、審査落ちとなるような案件がほとんどない状況になっていると想定されます。
まとめ:フラット35『保証型』のメリット、デメリットを整理
ここまでの説明で『保証型』のメリット、デメリットに触れてきましたが、まとめとして、整理したいと思います。
メリット
『保証型』のメリットは、『買取型』のフラット35よりも金利が低いことです。
『保証型』では、民間金融機関の商品設計の自由度が高くなるのが特徴でした。
そして、自由に設計できるからといって借入人にメリットがない商品は作らないという前提のうえ、現在では「金利」にフォーカスが当たっています。
デメリット
一方、『保証型』のデメリットは金利が低い分、申込条件が厳しくなっていることです
金融機関からすると、条件を厳しくしているというよりも、案件を“選別”しているという表現の方が正しいかもしれません。
なので、これから住宅ローンを借りる側の立場としては、自分が選ばれし者であれば利用を検討すればいいですし、そうでなければ無視するしかありません。
条件は取扱金融機関毎の設定になっていますが、基本的には自己資金を20%以上投入すると認識しておけば問題はないです。
また、他にデメリットになり得ることとしては、団信(団体信用生命保険)の内容が『保証型』の場合には金融機関独自のものになることです(『買取型』では住宅金融支援機構の団信が付保される)。
団信の内容は金融機関毎で異なるので、一概にデメリットだとはいえないのですが…
現在のフラット35『買取型』の団信が、一般的な団信より少しだけ保険の対象となる範囲が広いんですね。
なので、標準的な団信の内容であれば、『買取型』よりも保険の対象範囲が狭くなります。
フラット35『保証型』を取扱いしている金融機関は4機関のみ!
最後に、フラット35『保証型』を新規受付を行っている金融機関を紹介します。
現在、非常に数は少なく、以下の4機関のみで取扱いをしています。
- アルヒ
- 日本住宅ローン
- 財形住宅金融
- 広島銀行
しかも、誰でも申込が可能なのは実はアルヒのみです。
アルヒ以外の3機関については、申込ができる人が限定されています。
- 日本住宅ローン → 提携ハウスメーカー経由の申込人
- 財形住宅金融 → 公務員や同社と提携している企業に勤務者、同社が提携している業者経由の申込人
- 広島銀行 → 住所または勤務先がひろぎん支店(広島、岡山、山口、愛媛)の近くである人
日本住宅ローンは、積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、セキスイハイムの4ハウスメーカーと提携していますが、当該ハウスメーカーで新築する人ってお金持っている人が多いことは容易に想像がつきますよね?
つまり、自己資金の条件だけでなく、申込人属性も優良案件に絞っているんです。
財形住宅金融は、直接的に属性でスクリーニングしています。
広島銀行は…、地域密着ですね。
フラット35『保証型』を検討するのであれば、
- 上記3機関で申込が可能かどうかを確認
- 可能な金融機関があれば、アルヒと比べてどちらかを選択
という流れで、金融機関を決定するとスムーズです。
全期間固定の金利を希望している人にとっては、フラット35の『保証型』は非常にお得な内容ですので、条件に合致していれば迷いなく選んで良い住宅ローンかと思います。